夏休みは受験生にとっての重要なターニングポイントです。「夏を制する者が受験を制する」という言葉が示すように、この時期の過ごし方が合否を左右することは間違いありません。
しかし、部活が終わり、夏の解放感に包まれたお子様が机に向かう姿を見られず、不安になる保護者の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、受験生とその保護者の方にむけて、夏休みを有効に使い、受験合格への基礎を固めるための具体的な学習計画の立て方と、ご家庭でもできるサポート方法をご紹介します。
夏を制する者は受験を制す!の意味
「夏を制する者が受験を制する」とは具体的にはどういう意味でしょうか。一言でいえば、「夏休みに基礎や基本的な問題の漏れや抜けをなくしておく」ということです。
夏休みはそのようなこれまでの勉強の総復習に多くの時間を割ける最後のチャンスといえるでしょう。
ベネッセの高校入試調査によると、受験勉強を始めた時期として一番多いのは「中3の夏休み」の時期で全体の25%の生徒が夏休みから勉強を始めています。
一方、中3の夏休み「まで」に受験勉強を始めた生徒は全体の65%であり、今始めなければ一般的には「受験勉強への取り掛かりが他の生徒より遅い」と言えます。
つまり、夏に頑張ったから合格するのではなく、最後のチャンスである夏に頑張らないと志望校の合格は限りなく遠のいていきます。
そういう意味では逆に「受験を制した合格者たちは全員、夏を制してきた」と言えそうです。
受験生はこの夏休みを有効に使って、しっかりと合格への土台を固めていきたいものですね。
もちろんそのためには今までの苦手分野の分析や克服するためのスケジュールが必要です。
関連記事:【高校受験】受験勉強はいつから始めれば間に合う?対策と進め方を解説!
夏休みの学習計画の立て方
1. 自分の状況を把握
まずは今の自分の状況を把握することから始めます。
教科書に加え、1学期やこれまでの学年で解いたプリントやテストを全て準備し、間違えたところ、苦手なところ、理解があいまいな部分にチェックをしていきましょう。具体的には以下の基準でそれぞれ◎〇△に分けていきます。
◎:理解もできていて応用問題まで解けているもの
〇:基本問題は解けるが、完璧には理解しきれていないもの(応用問題はつまづく)
△:考え方が理解できていなくて、基本問題でも間違えているもの
2. 優先順位を付ける
そして勉強の優先順位をつけていきます。優先順位は△のものを〇にすることから始めていきましょう。
特に英語と数学は積み上げ型の教科です。一年生で習った内容の理解が不十分だと、二年生で習う内容が理解できなくなります。例えば一次関数理解できないまま、二次関数を理解することはできないですよね。それだけにこの2科目を苦手にしている中学生は多いです。このように数学や英語は短時間で苦手克服しにくい科目なので、夏休みの時間を利用して充分に復習の時間をとるようにしてください。
3. 長期目標と短期目標を決める
では次に目標を長期目標と短期目標に分けていきましょう。
大目標とは夏休み期間の最終目標となる目標です。そしてそれを達成するためのいくつかのプロセスごとの目標を立てます。これが短期目標です。
大目標は「〇〇〇と▲▲▲の苦手を克服して数学の基礎を固める」など、具体的かつ達成可能なものを設定しましょう。
小目標は数日間~一週間ごとなどの短期に設定する目標で、「この日までに▲▲▲の単元のワークを〇ページ終わらせる」「この日までに応用問題を3回解く」などです。
関連記事:勉強の習慣化には目標が大事!学習面の目標設定と立て方のコツは?
4. 日ごとの計画を立てる
この小目標を軸に、一日ごとの計画を立てていきましょう。一日単位にまでも目標ややるべきことを設定しておくと日々勉強する目標も明確になり、長い夏休みの間で勉強へのモチベ―ションを維持できます。
もちろん一日の学習計画を夏休みの日数分一気に作る必要はありません。小目標に合わせて数日~一週間単位でおおまかにやることを日ごとに決めてきます。計画内容を具体的に決めるのは前日の夜でも構いません。いざ取り掛かったら予想外に時間がかかった、又はすんなり理解できた等で計画通りに必ずしも進むわけではないからです。そのために明日の学習計画を具体的に立てるのは前日の夜が良いのです。例えば時間がかかった単元に対しては、明日多めに時間をとる等、柔軟に調整がしやすくなります。
5. 勉強時間には余裕時間を含める
また、勉強時間は休憩時間や予定外に時間がかかってしまった場合のために余裕時間を設けておきましょう。
例えば勉強時間を1日6時間とるとして、実際の勉強に費やす時間は4.5時間で計画をして、残りの1.5時間を休憩等の時間に取っておくなどです。
勉強効率を上げるためにはリフレッシュの時間も大切です。
関連記事:1学期の勉強の遅れはどう取り戻す?中学生の「ついていけない」を無くす夏休みの過ごし方
ご家庭でも受験勉強のサポートを
とはいえ、いきなり自分だけで受験モードにスパっと切り替えられるお子さんはそう多くはありません。しかし保護者の方にとっては中学生の勉強内容となると、小学生の時のように子どもにやり方を教えるというのは難しいと思います。
ではおご家庭はお子さんの勉強をどうサポートしていけばいいのでしょうか?
いくつかご紹介したいと思います。
学習計画の作成
学習計画もお子さんに全てを任せていると、理解できている問題を繰り返しやり直している、いきなり難しい応用問題に取り組んでいるなどの「的外れな勉強」を始めてしまっている場合もあります。
さきにも述べたように、まずは苦手をしっかり洗い出すことが大切。お子さんだけでは時間がかかるようでしたら、チェック作業について親御さんも中学1年生の学習内容まで振り返って苦手分野の確認をしていきましょう。特に積み上げ型の科目である英語・数学は基礎部分からの振り返りが大切です。
志望校の過去問を準備
ある程度基礎固めができたと思ったら、志望校の過去問を一度は解いてもらうのも効果的です。それによって実際の入試のシミュレーションもできますし、夏休みの学習成果の腕試しにもなります。
この時期では応用問題が解けなくても落ち込む必要はありませんが、基本的な問題で間違えていたものがあれば、再度その部分は復習しておくようにしましょう。
あくまで入試へのモチベーションを上げるため、自分の今の苦手を再度把握するための活用がおすすめです。
関連記事:過去問にはいつから取り組む?上手な過去問の活用方法
生活習慣を維持させる
この部分はご家庭でできるサポートとしては最も重要な部分かもしれません。夏休みなどの長期休みの時にはどうしても夜更かしなどで生活習慣が崩れてしまいがちです。夏休みも勉強習慣を維持していくことが大事ですが、そのためにはお子さんの生活習慣が夏休みで変わってしまうことのないようにご家庭でも気をつけるようにしていきましょう。
夏休みでも学校のある時と同じように早寝早起きということですね。逆にこれまで寝坊や深夜に寝ることの多かったお子様に対しては正しい生活リズムにすることも大切です。
規則正しい食事
また、食事も大切です。受験生になると午前中から勉強することも珍しくないと思いますが、勉強の効果を上げていくには何をどのタイミングで食べるかも大事になります。1日3食しっかりと食事をとれている子供と、朝食を抜いた2食生活を送っている子供では、集中力や学力にも差が出るというデータもあります。お子さんの体に必要となる栄養を朝からしっかりとることが大切です。
寝ている間、飲み物・食べ物を摂取していない状態の体は低血糖状態にあります。その状態で勉強を始めても、脳はまだ目覚めていません。朝ごはんを食べることにより、脳の健康的な働きに必要なブドウ糖を送ることができます。
生活習慣とともに規則正しい食事も意識してみて下さい。
関連記事:朝食を食べないと集中力が落ちる⁉ 断食勉強がダメな理由
合格に近づく受験生の夏休みの過ごし方まとめ
「夏を制する者は受験を制す」この言葉の本質は、夏休みを通じて基礎を固め、苦手分野を克服することにあります。逆に夏にダラダラしてしまうと、合格は限りなく遠のいてしまいます。
夏休みの勉強については学習計画の立案、過去問の活用、規則正しい生活習慣の維持など、学習環境も含めて保護者ができるサポートも多岐にわたります。
受験生はこの夏休みを有効に使い、しっかりと合格への土台を築いていきましょう。ご家庭全体でお子さんの勉強に協力し、充実した夏休みを過ごすことが、志望校合格への第一歩となるはずです。今こそ行動を起こし、成功への道を切り開いてください。
夏を制して受験に合格できるように、一緒に頑張っていきましょう!