
これまで「比較級」について、3種類の基本用法・形の変化・強調・慣用表現について、順に解説してきました。比較にはこのように沢山のそして様々な覚えるべき知識があります。
そして、実はさらに知っておくべき「比較の注意すべき用法」があります。
ここでは注意すべき特殊な比較の用法を徹底解説していきます!ここまでおさえておかないと、せっかく比較についてしっかり身に付けたとしても、ミスをしてしまう可能性があるので、テスト対策・日常会話・資格試験などにおいて、正しく比較という英文法を使えるようになるために、必ず学んでおくことが大切です。
では、「比較級」「最上級」の順に、例文とともに見ていきましょう!
【こんな生徒におすすめ】
・比較級、最上級のレベルを上げたい
・比較級、最上級を完璧にして高得点を取りたい
・比較級、最上級の注意点を知りたい
・The 比較級になる場合を教えてほしい
・最上級なのにtheを付けない場合を教えてほしい
・劣等比較級について詳しく知りたい
・ラテン比較級の表現を知りたい
1 比較級の注意すべき用法
①比較級なのにtheをつける場合
通常、比較級にtheをつけません。しかし、例外として〈the+比較級〉の形を取るケースがあるのです。慣用表現としても扱われます。
❶The 比較級~, the 比較級・・・.「〜すればするほど益々・・・」
The more money we have, the more money we want.
「お金は持てば持つほど、ますます欲しくなる。」
❷the 比較級 of the two「ふたつのうちで〜な方」
My brother is the taller of the two boys.
「私の兄は、あの2人の少年のうちの背の高い方です。」
※比較級と最上級の中間のような表現ですね。
関連記事:高校英語5分でマスター!おさえておくべき比較級3つのポイントとは?
②同一内での比較級の場合は、-erタイプは使えない
通常、比較級には-er\moreタイプに分かれますが、他者との比較でなく同一内での比較の場合、全てmoreタイプで統一されます。
more A than B 「BというよりむしろA」
※AとBは「原級」を置く。
(注意)同一内での比較は、全ての形容詞・副詞が、moreの比較級になる。
He is more wise than brave.
「彼は、勇敢というより賢い。」
→wiseの比較級は、wiserなのですが、この文のように、同一内での比較の場合、moreタイプに統一します。この文では、彼に対しての比較対象は無く、彼内での性質の比較なので、more wiseとなります。
関連記事:高校生必見!比較級「原級比較のas」重要ポイント総まとめ!
③劣等比較級
通常の比較級は、〈優等比較〉です。それに対して〈劣等比較〉とは、「より〜ない」という意味で、比較対象よりもそうでないという表現方法です。
この場合、すべての形容詞・副詞の形が〈less + 原級〉で統一されます。
less 原級 than・・・「・・・よりも〜ない」
※lessは、littleの比較級
The concert was less interesting than last year.
「コンサートは、去年よりも面白くなかった。」
④thanを使わない比較級
通常、比較対象の前に「〜よりも」という意味のthanを付けます。
しかし、〈ラテン比較級〉という、thanの代わりにtoを用いる特殊な比較級があります。
❶prefer A to B「BよりAの方を好む」
(=like A better than B)
I prefer winter to summer.「私は夏より冬が好きだ。」
(= I like winter better than summer.)
※両方の形で言えるようにしよう。
❷junior to〜「〜より年下」⇔ senior to〜「〜より年上」
(=younger than) (older than)
She is junior to me by three years. (=She is younger than I(me) by three years.)
I am senior to me by three years. (I am older than she(her) by three years.
❸superior to〜「〜より優れている」⇔ inferior to〜「〜より劣っている」
He is superior to other people in everything.
「彼は全てにおいて他の人たちよりも優れている。」
This is inferior in quality to that.「質においてこれは、あれより劣っている。」
関連記事:比較級の形er?more?不規則変化?スッキリ理解!使い分け完全解説
⑤比較級・最上級の形が2つある単語
〈注意すべき二つの変化形を持つ単語〉
下記の単語には、意味により2つの変化形があります。
〈old 〉- older – oldest (年齢・時代「古い」) / elder – eldest (年上の)
〈late〉- later – latest (時間「遅い」) / latter – last (順序「後の」)
〈far〉- farther – farthest (距離「遠い」) / further – furthest (程度「もっと」)
(発音注意)
*latter [lætə(r)] :[ラター]と発音
*farの比較級・最上級には、thが挟まれて[ð](ダ)と濁る発音
⑥比較の差の表し方
「比較級の差」の表し方には、2パターンあります。
❶比較級の直前に置く
You are three centimeters taller than I.「あなたは私より3センチ背が高い。」
❷文末に〈by〜〉で置く
You are taller than I by three centimeters.
”差のby”と呼ばれています
2 最上級の注意すべき用法
①most/most of〜
many/muchの最上級mostは、一つの単語としても下記の形でよく使われます。
most + 名詞/most of + 代名詞/most of the 名詞「ほとんどの、大部分の〜」
Most boys/Most of the boys like soccer.「大抵の男の子はサッカーが好きです。」
②「〜番目」の最上級の表し方
1番でなく2番目、3番目などに1番〜ということもできます。
the 序数 + 最上級「X番目に〜」
What is the second highest mountain in Japan?
「日本で2番目に高い山はどこですか?」
※序数には必ずtheをつけます
関連記事:「比較級と最上級の違い」「最上級でのinとofの使い分け」完全マスター
③最上級なのにtheをつけない場合
通常、形容詞の最上級にはtheをつけて使います。
しかし、比較対象がない同一内での最上級においては、theをつけてはいけません。
同一内での最上級(その人・物の性質を表す場合)はtheを付けない
※この場合の形容詞は、叙述用法(C「補語」として使う用法)になります。
This lake is deepest at this point.「この湖はこの地点が最も深い。」
cf.比較してみよう!
This lake is the deepest of all lakes in this region.
「この湖は、この地域の湖の中で最も深い。」
④最上級の主語にはevenの意味が含まれる
「最上級を主語」にすると、「最も〜でさえ」という意味になり、”even”のニュアンスを持つ。
The strongest man cannot lift this rock.
「1番強い男性でさえ、この岩を持ち上げることができない。」
まとめ
「比較」は、このように注意点が多く、奥深い文法ですね。
基本や慣用表現はもちろん必要なのですが、さらに進んでこのような特殊な用法や細かい注意点について身につけることは、英語力を総合的に上げる為に大切なのです。
これにより、より深く正確に英語を読み書きできるようになり、その他の英文法の理解へも繋がっていくことでしょう。