一次関数のグラフのかき方を例題で完全マスター|中2 数学の基礎

1. グラフとは

まずは、「グラフ」とは何かについておさらいしましょう。

グラフとは、ある関係を図にして表したものです。数学では、2つの数$( x, y )$の関係をグラフで表すことがよくあります。特に「一次関数」の学習では、グラフの基本的な見方やかき方がとても大切になります。

横軸と縦軸

グラフには、「横軸」と「縦軸」があります。
横軸は「 $x$ 軸」といい、$x$ の値を表します。縦軸は「 $y$ 軸」といい$ y $の値を表します。
この2つの軸が交わる点を「原点」といい、座標では $(0, 0)$ と表します。

座標

「座標」とは、グラフ上の点の位置を表すための $x $と$ y $の値の組み合わせです。
たとえば、点Aが横に$3$( $x$ 軸方向に$3$)、縦に$2$( $y $軸方向に$2$)の位置にあるとき、「点Aの座標は $(3, 2)$」といいます。「点A $(3, 2)$」あるいは「 A $(3, 2)$」のようにかくこともできます。また、点$A$でなくてもよい場合は、単に「点 $(3, 2)$」などと書くこともできます。

座標は、必ず ( $x$ の値, $y$ の値) の組み合わせで書きます。
この順番を間違えないように注意しましょう。

グラフの見方をしっかり身につけておくと、今後の学習がとてもスムーズになります。

2. 比例の復習

次に、中1のときに学んだ「比例」について復習しておきましょう。

$y = ax $のグラフ

比例の式 $y = ax$ のグラフは、覚えていますか?
このグラフは、「原点を通る直線」になります。
グラフをかくときは、原点ともう1つの点をとって、それを直線で結ぶのがポイントです。

続く章では、「一次関数のグラフ」について学んでいきます。グラフの意味・座標の読み方・比例の式とグラフをしっかり復習し理解しておきましょう。

3. 一次関数のグラフ

まず、一次関数 $y = ax + b$がどんなグラフになるのかを見ていきます。

この$ y = ax + b $のグラフも、比例の式 $y = ax$と同じように直線になります。
ただし、$y = ax + b$ のグラフは、原点$(0, 0)$を通るとは限りません。

一次関数のグラフをかくときは、グラフが通る2つの点を求めて、それらを直線で結ぶのが近道です。

ポイント 一次関数 $y = ax + b $のグラフは、2点を求めて直線で結ぶ

4. 一次関数のグラフのかき方|2点を結ぶ

それでは、いよいよ一次関数$ y = ax + b $のグラフをかいてみましょう。

繰り返しになりますが、グラフをかくときは、グラフが通る2つの点を求めて、それを直線で結びます。

2つの点は、$x = 0$ や$ x = 1 $を式に代入し、それぞれの y の値を求めることで得られます。

なぜ、$x = 0$ や$ x = 1 $を式に代入するかというと、小さい値を用いた方が、計算が楽になることがあるからです。

例えば、$y = x + 1 $の一次関数の場合は、
$x = 0 を代入すると y = 1$
$x = 1 を代入すると y = 2$
となりますので、2つの点の座標は$(0, 1)(1, 2)$となります。
この2つの座標を直線で結べば、グラフの完成です。

ポイント 式に $x = 0、x = 1 $を代入して、2つの点の座標を求めて直線で結ぶ

例題

(1)$ y = 2x $のグラフ

$x = 0$ を代入すると $y = 0$
$x = 1 $を代入すると$ y = 2$
になるので、2点$(0, 0)(1, 2)$を直線で結ぶと求めたいグラフになります。

(2)$ y = 2x + 3 $のグラフ

$x = 0 を代入すると y = 3$
$x = 1 を代入すると y = 5$
になるので、2点$(0, 1)(1, 5)$を直線で結ぶと求めたいグラフになります。

5.一次関数のグラフのかき方|傾きと切片

ここでは、「傾き」と「切片」からグラフをかくやり方を紹介します。

一次関数のグラフに慣れてくると、一次関数の式の形を見ただけで、グラフをかくのに楽な方がわかってきます。方法を2つとも知っておくと、ケアレスミスの防止にもつながります。

$y = ax + b$は、傾き $a$、切片 $b$の直線です。

傾き$a$:変化の割合=$\frac{y の増加量}{x の増加量}$
$切片b:y軸上の点( x = 0 の y の値)$

このことから、4つのステップでグラフをかくことができます。

  1. $y $軸上に$ b $の値をとり、ペンで印①をつける
  2. $a を$分数になおす
  3. ①をスタートにして、$x$ 軸(ヨコ方向)に分母の値を、$y$ 軸(タテ方向)に分子の値をとり、印②をつける
  4. 印①と印②を直線で結ぶ

では、同じ例題で実際にグラフをかいてみましょう。

ポイント 切片$b(y軸上の点)と傾きaの分だけ移動した点を結ぶ$

例題

(1)$ y = 2x のグラフ$

$y = 2x と y = ax + b を見比べると、切片 b = 0、傾き a = 2 となります。$

書き方:

  1. $y $軸上の値は 0 になるので、そこにペンで印①をつける
    (この場合はグラフの原点と同じ位置になる)
  2. $a$ を分数になおすと、$\frac{2}{1}$になる
  3. ①をスタートにして、$x $軸方向に 1 進み、$y$ 軸方向に 2 進んだところに印②をつける
  4. 印①と印②を直線で結ぶ

上の章でかいたグラフと同じになります。

(2) $y = 2x + 3 $のグラフ

$y = 2x と y = 2x + 3 を見比べると、切片 $b = 3、傾き a = 2 $となります。

書き方:

$y$ 軸上の値は$ 3 $になるので、そこにペンで印①をつける
$a$を分数になおすと、2/1 になる
①をスタートにして、$x $軸方向に 1 進み、$y $軸方向に 2 進んだところに印②をつける
印①と印②を直線で結ぶ

これも上の章で書いたグラフと同じになります。

$y = 2x$ と $y = 2x + 3 $のグラフの関係

ここで、$y = 2x $と $y = 2x + 3$ のグラフを比べて、どんなことがいえるか確認してみましょう。グラフを重ねてみると、$y=2x+3$ の$y$ の値は、$y = 2x$ の値に常に$3$を加えた数になっていることがわかります。
つまり、一次関数 $y = ax + b $は、比例 $y = ax を y 軸方向に b$ だけ平行移動した直線ということになります。

このことから、「傾き $a $が等しい2つの一次関数の直線は平行になる」ということがいえます。

この平行の関係は、テストにも出題されますので覚えておきましょう。

ポイント 傾き$ a $が等しい2つの一次関数の直線は平行になる

6.一次関数の式とグラフの関係

ここでは、少し詳しく $y = ax + b$ の「傾き $a$ とグラフの関係」「切片 $b$ をグラフの関係」をみていきます。

この関係を知っておくと、一次関数の式をみただけで、グラフがどんな直線になるかを簡単にイメージできるようになります。

傾き$a$とグラフの関係

$a > 0( a が正の数)の場合は、右上がりの直線になる$
$a = 0 の場合は、x 軸と平行の直線になる$
$a < 0( a が負の数)の場合は、右下がりの直線になる$

切片$b$とグラフの関係

$b > 0( b が正の数)の場合は、y 軸上の点はx軸より上になる$
$b = 0 の場合は、原点を通る直線になる$
$b < 0( b が負の数)の場合は、y 軸上の点は x 軸より下になる$

$a$ または $b$ が同じ2つの直線の関係

$a$ が同じ場合は、2直線は平行になる
$b$ が同じ場合は、2直線は $y$ 軸上で交わる

ポイント 傾き $a$ と切片 $b$ の値の正負などで直線の形をイメージをできる

まとめ

今回は、一次関数とそのグラフのかき方について学習してきました。

最初に、グラフの基本として「横軸( $x$ 軸)と縦軸( $y$ 軸)」や「座標の見方・書き方」をおさらいしました。
次に、中1で習った「比例$ y = ax$ 」のグラフを復習し、一次関数 $y = ax + b $のグラフの特徴を学びました。一次関数のグラフも直線ですが、原点を通るとは限らない点がポイントでしたね。

グラフをかく方法としては、

  • $x = 0 $や $x = 1$ を代入して2点を求めて結ぶ方法
  • 切片と傾きを使ってかく方法

の2つがありました。一次関数の式や問題に応じて使いやすい方法が異なりますので、それぞれのやり方を覚えておきましょう。

さらに、傾きや切片の値によってグラフの形がどう変わるか、グラフの平行関係なども学びました。これらもテストで出題される内容ですので、しっかりおさえておきましょう。

「一次関数の式を見てグラフの形がイメージできる」
「グラフを見て一次関数の式がわかる」

そんな力がついてくると、一次関数のグラフの問題に自信をもって楽しく取り組めるようになります。