2018年の文部科学省により公示された新しい学習指導要領に基づき、新しい英語教育がスタートしました。これにより、各小学校、中学校、高校での外国語教育の段階的な変革が行われています。
これに従い高校英語の科目も再編され、これまでの「コミュニケーション英語」「英語表現」「英語会話」に代わり、2022年度から、高校英語に「英語コミュニケーション」と「論理・表現」の2科目が新設されました。
では、この新しい2科目の目的とは?
英語を使いこなすための4技能「読む」「聞く」「話す」「書く」を、バランス良く伸ばすこと。
これまでの日本の英語教育では、「読む」力に重点が置かれ英文法習得や英文解釈が中心の授業でしたが、時代の変化に合わせて、グローバルな活動をする上での4技能をバランス良く身につける必要性の高まりに対応するため、「話す」技能を『やり取り』と『発表』に細分化し、「コミュニケーション」重視の内容にすることで、より実践的な英語力をつけていく狙いがあります。
ここでは、「英語コミュニケーション」の目的・授業内容・勉強法・テスト対策まで、詳しく解説していきましょう!
【こんな生徒におすすめ】
・新設の「英語コミュニケーション」の目的や授業内容を知りたい
・「英語コミュニケーション」の具体的な活動や勉強・テストについて知りたい
1. 英語コミュニケーションの目的・目標

「英語コミュニケーション」の目的・目標とは?
「英語コミュニケーション」は、「コミュニケーション英語」に代わり新設されました。
これまでの「基礎的な英語の能力を養う」という目標から、「目的・場面・状況に応じて適切に活用できる英語の技能を養うこと」という目標に変わりました。
科目は下記のように変わりました。
具体的な変更部分とは?
「4技能5領域」(「読む」「聞く」「話す(やり取り)」「話す(発表)」「書く」 )
これまでの4技能のうちの「話す」の部分が、「話す(やり取り)」と「話す(発表)」というように細分化されました。これにより、「話す」というアウトプットの技能の強化を可能にします。同時に、より「使える英語」の取得に重点が置かれています。
また、習得語数もこれまでの1,800語から2,500語へと変わり、700語も増えました。
「英語コミュニケーション」と「論理・表現」の違いは?
「英語コミュニケーション」では、日常的な問題・社会問題を扱いながら、総合的な言語活動を行う事に重点が置かれています。それに対して、「論理・表現」では、スピーチ・プレゼンテーション・ディベート・ディスカッションを通して、発信を実際に行います。
関連記事:【高校英語 新課程】「論理・表現」完全攻略5つの秘策
2. 英語コミュニケーションの授業内容

具体的な内容とは?
「英語コミュニケーションⅠ・Ⅱ・Ⅲ」
このように段階的に組まれています。
「長文読解」をメインに行われます。段階的に、レベルが上がり、扱う内容も難解なものへ移ります。
①「聞く」技能
対話・放送を聞きながら、必要な情報・話し手の意図を把握する。
また、段階が上がるにつれて、聞く内容はスピーチ・討論・ニュースとなっていき、それらの概要・要点を把握するという目的へ移ります。
さらに、ペアやグルーブになり、聞き取った内容の要点を伝えあったり、質疑応答・感想を述べたりする活動も行います。
②「読む」技能
Eメール・パンフレットなどの文書を読み、書き手の意図・概要・要点を把握する。
また、読み取った内容を話し合ったり書いたりもします。
段階が上がるにつれて、読む内容は新聞記事・広告・記録文などの文字数の多い英文になっていき、それについての感想を伝えあうこともします。
③「話す(やり取り)」技能
日常的な話題について、自分の考え・気持ちをその場で伝え合います。
また、その内容を整理して発表したり書いたりする活動もします。
また、討論・ニュース・講演などを聞き、自分の考えを伝えたり、課題の解決策を述べたりという活動もします。
④「話す(発表)」技能
あるテーマについての情報をわかりやすく説明したり自分の意見を伝えたりします。ただ伝えるだけでなく、その理由・根拠も述べながら聞き手にわかりやすく論理的に伝える能力を身につけていきます。
⑤「書く」技能
対話・説明を聞いたり読んだりして、その情報や自分の気持ち・考えを、理由・根拠とともに論理的に書いて伝える力を身につけます。段階が上がるにつれて、英語で長文を書く力も養います。書いた内容を、読みあったり、意見交換などもします。
関連記事:【高校英語】「英語コミュニケーション」「 論理・表現」とは?すぐわかる内容・勉強法を紹介!
3. 英語コミュニケーションの勉強法・テスト対策

定期テストでは、「読む」(長文読解)、「書く」(英作文)、「聞く」(リスニング)と言う形で出題されます。
また、これに加えて、パフォーマンステスト(インタビューやプレゼンテーション)として、「話す」(スピーキング)のテストが行われる場合もあります。
観点別評価が導入されたため、テスト問題は、「知識・技能」問題と、「思考力・表現力・判断力」問題に、分類されています。
テスト問題
①「知識・技能」問題
授業で習う知識・技能を出題されます。
なので、習った英文をしっかり身につけておけば大丈夫ですので、ここでは努力次第で高得点も狙えます。
②「思考力・表現力・判断力」問題
授業で習った「知識・技能」の応用力を問う問題です。
「記述式論述問題」では、本文の要約や本文の一部を説明するなどの、自分の頭で読み取ったものを工夫して答えるもの、
「実力問題」では、初見の問題が出されます。
出題内容
「長文読解問題」をメインとし、和訳、語彙・文法問題、応用問題(本文和訳を英訳する問題、長文の要約問題、本文の一部の説明や理由を述べる問題)、ディクテーション問題、リスニング問題、初見問題など。
勉強法・テスト対策
①教科書・授業内容をきちんと理解し、身に付ける
基本は当然、教科書と授業内容を身につけておくことです。
英文のボリュームが大きくレベルも難解で網羅しきれない場合は、大事な部分を覚えておく事。授業中、先生が強調する部分は、必ずしっかりチェックしておきましょう。
②テスト範囲の英単語・熟語・文法と英文和訳力を磨く
「英語コミュニケーション」の出題内容のメインは長文読解です。
テスト範囲を常に意識して、無駄のない勉強を。
授業で扱われた箇所を中心に、単語・熟語・文法・英文和訳ができるように、基礎固めをし、応用問題にも対応できるよに準備しておきましょう。
③復習は早め早めに
普段から復習をしておくと、テスト前に慌てたり大変な思いをしたり間に合わなかったということもなく、テスト前は最終確認作業だけになり、気持ちも時間的な問題も少なく、トータル的に負担軽減になります。
また、何より、英語は知識の積み重ねにより習得可能になるため、テスト前だけ勉強しても身につきません。普段から復習を重ねていく事がなによりも大事である事を知りましょう。
④小テスト・単語テストなども、手を抜かない
定期テストで成果を発揮するために努力する事は大切ですが、それ以外の確認テストなども実施されている場合は、手を抜かないように。
それぞれの評価が成績に反映されるだけでなく、折角の力試しの機会を与えてくれているものを活用しないのは勿体ないですね。どんなテストも、自分の勉強に役に立てようとする意識が、結果的に、定期テストに結びついていくのです。
⑤宿題・課題も、しっかりこなす
さらに、普段課される課題についても、適当にしないこと。
義務として取り組むのではなく、自主性を持って取り組みましょう。
英語は積み重ねの教科ですので、宿題・課題も力をつけるいいチャンスと捉えましょう。
⑥問題集を活用
学校から配られている問題集・問題をしっかり活用して、勉強した知識の確認作業と、さらに問題を解く事でテストで力を発揮できるための準備をしておくことです。ただ覚えるだけでは、実際の問題をこなせるようにはなりません。問題をこなす事まで含めて、初めて「復習」ができたと言えます。そして、間違えた箇所をテスト前に見直すことで、テスト対策は万全なものになります。
⑦英文の意味を取れるだけでは高得点は狙えない問題もあるので注意
テスト内容は、語彙・文法・英文和訳問題だけでなく、自分の頭で考えて答えを導く応用問題(本文和訳を英訳する問題、長文の要約問題、本文の一部の説明や理由を述べる問題)、ディクテーション問題、リスニング問題、初見問題など、暗記学習だけでは対応できないものもあります。
レベルの高い問題まで視野に入れ、授業内容、先生の話、問題集を、網羅しておく必要があります。
英語コミュニケーションまとめ

時代に合わせ、英語教育の内容も変化します。英語学習自体が何か変わる事はありませんが、教育機関や資格試験の内容や傾向は、あるタイミングで今回のように変えられていくため、時代ごとに日本人の英語力や特徴も違ってきます。
今回の変更により、これまでのインプット型学習だけでなく、発信力や応用力を養うアウトプット型学習が組み込まれました。それに伴い、学習語数も大幅に増加されました。
このようなアウトプット型の授業では、授業の中で経験を重ね身につけていきます。
しかし、「英語は知識の積み重ねにより身につく教科」という基本の部分は、いくら時代の変化とともに学習内容が変わっても、ブレる事はありません。ここで解説してきた勉強法を参考に、テスト対策に工夫を加えて、新設科目に対応できる英語学習に慣れていきましょう。













