中学1〜2年生までは、学校の勉強に集中していけば良いのですが、中3になると、次の大きな目標である「高校入試」を一番に考えた勉強を開始しなくてはなりませんね。なので、これまでとは違う意識で、勉強の仕方について、考えていく必要がでてきます。
ただ、当然、中3になってからやればいいという話ではありません。今まで何もしていなかったら、中3になってから中1・中2で習う内容を始めていては、周りに遅れをとってしまいますので、中1・中2にやるべきことはその時期にきちんとこなしておくことは基本です。その上で、では中3になったらどう切り換えていくのかについて、「中3英語の勉強とスケジューリング」についてを、詳しく解説していきましょう。
また、もしこれまで英語の学習において自信がないまま来てしまった人も、中3生になり、これまでの分をこの一年で是非挽回していくチャンスの年でもあるので、早めに計画を立てていきましょう!
【こんな生徒におすすめ】
・中3になり受験に向けた英語学習についてアドバイスが欲しい
・高校受験に向けて英語の勉強とスケジュールを効率的に進めていきたい
・中3から高校受験のために英語の勉強をどう進めていくかを教えて欲しい
1. 中3英語の進め方
まず、中3英語の勉強と対策をするにあたり、その特徴やポイントを見ていきましょう。
①「英語は結果が出るまでに時間のかかる教科」
英語は、一度苦手になると取り戻すまでに最も時間のかかる教科の一つゆえに、苦手な人はどんどん苦手に、そして問題のなかった人も気づくと得意な人に抜かれていく、という状況になっていきます。
なぜ、英語は成果につながるまでに時間を要するのでしょうか?
→他教科と異なり、英語は、各分野・各単元ごとの知識・力が総合的についていないといけない。つまり、「総合的な英語力が必要」だからなのです。
例えば、単語帳の30%だけ覚えて、文法項目のうちのいくつかだけマスターしても、英語を読めたり書けたり、聞けたり、さらにその上で問題で正解を導き出すことは難しい、のです。
→「英語は”覚えていく”を積み重ねていく教科」
つまり、覚えることが得意でない場合、必然的に英語が苦手教科になります。
また、英語という外国語を覚えるというハードルの高さや、単語・熟語・慣用表現・文法と、覚えるべき数も種類も非常に多い事から、単に覚えればいいという事で済む教科ではないということで、覚えるを積み重ねていく努力が最も問われるものなのです。
②「高校入試の英語の内容は、大幅に変わってきている」
高校入試英語問題は、大きく分けると「文法・語彙」「長文読解」「リスニング」「英作文」の4項目から成り立っています。
近年の高校入試では、内容の半分は長文に変わってきています。
ただ、実際は、長文読解の問題の中に、語彙・文法を問う問題が沢山織り込まれています。けれど、長文をきちんと読めていなければ、これらの問題も正解を導く事が難しいでしょう。
つまり、これまでのように語彙・文法問題は減っているようにみえていても、イコール語彙・文法の勉強をしなくて良いということではないため、英語学習の基本内容は変わりません。これらのベースを確固たるものにする事により、本番の長文読解などで力を発揮できるようになるのです。
③「中学英語の集大成は、なんと言っても単語力と文法の知識」
あらゆる技能の問われる大学受験とは違い、高校受験や中学英語においては、英語の中でも基礎的な知識を求められています。その、基礎的に知識とは、具体的に言うと、基本的な単語と文法です。高校受験で長文読解などがあっても内容は簡単なものになっており、設問内容も、中学レベルまでの語彙力と文法力が備わっていれば解けるものになります。
高校に入ると、この単語・文法のレベルはどんどん上がり数も増えていきますので、中学生の間に、これまで学んできた単語と文法の基礎知識を、確実なものにしておきましょう。
④「英語で高得点を取れるようになって、校内でも受験でも差をつけよう」
英語という教科は、先述した通り、結果が出るまでに時間のかかる教科です。さらに、英語が苦手だという人も非常に多い教科。
しかしこれは言い換えれば、英語で差をつけられるということになりますね。
もし今苦手と感じていたり思うような点数が取れていない場合は、これからさらに差をつけられないためにも、中3の間に、中1〜中2のテキストのやり直しをしてみましょう。英語は基本の積み重ねです。これまでの復習なしに、次に進むことはできません。
また、英語に問題ないと思える場合は、より力を入れていきましょう。そうすれば、学内のみならず、入試においても他の人と差をつける事ができ、英語で高得点も可能になります。
⑤「学校の勉強と並行して、高校受験の勉強も開始しよう」
中3になったら、これまでの勉強の仕方を変えていく必要があります。
それは、高校受験という大きな目標があるからです。
今までは学校の勉強とテスト対策をしてきましたが、これからはそれと並行して高校受験のための勉強も進めていくことになります。
しかし、まったく別物ということではないので、勉強がダブルの負担になるわけでなく、この2つをうまく高校受験へと結びつけられるような効率的な勉強の進め方をすることで、無駄のない学習になり、学校の成績も上がり、同時に高校受験のための準備も固めていく事ができるのです。
特に英語という教科は、すべての知識が総合的に結びついて結果となる特性があるため、何を学んでもそのまま英語力に繋がるわけです。ただ、受験という目標もあるため、それに沿った内容と計画をまずは立てていくことが重要です。
関連記事:【受験生必見】英語の高校入試で合否を分ける〈時間配分〉5つのポイント
2. 中3英語の分野別勉強法

次に、中3英語の勉強法について、分野別に解説していきます。
まずその前に、中3英語学習においてすべての分野に共通するポイントがありますので、確認してください。
「各分野に共通する勉強法」
①正しい方法で復習をすること
英語の正しい復習とは?
まず第一に、英語は覚える教科であることを知ってください。
という事は、「復習は必須である」という事です。
そしてその復習の仕方にこそ、英語が身につくか否かは左右されるのです。
もちろん自分に合ったやり方を見出した場合は、それに従って進めていけばいいでしょう。しかしもし今のやり方ではいまいち苦労していて結果も反映されていないようであれば、復習の仕方に工夫を入れてみましょう。
❶一冊の教材・問題集につき、2~3周の復習をする事
❷まず、1周目に確認・解いた時に間違った・曖昧だった箇所や設問に、必ずチェックを入れておく事。またこの時に、何か気づいた事など補足説明を書き込んでおく事も良い。
❸2周目には、このチェックの入れた箇所のみを再度挑戦する。この際に、再びできなかった箇所に2回目のチェックを入れる事。
❸3周目には、2回目のチェックの箇所のみを復習してください。
この復習法により、最効率で単語〜文法、その他全てにいたるまでの英語の知識を身につける事ができます。
②音読を意識する
「音読」の効果は総合的に作用するため、どの分野を勉強する際にも有効です。
読めないものは書けない。
言語は、音がわからないと、身に付かないものなので、「声に出して言う」事は、英語の勉強において、マストになりますが、実情を見ていると、殆どの生徒は音読の習慣がなく、そのためまともに読む事もままならない傾向が強いのです。
これでは、英語が伸び悩むのも当然です。
逆を言えば、せっかく勉強しているのにそれらを声に出さないだけで、非常に損をしているという事になります。
学校などではあまり意識させられていないかもしれませんが、「音読」を取り入れるだけでも飛躍的に英語力は伸びるため、今のうちに習慣にしていきましょう。
③英検3級にもトライしてみる
高校受験対策と英語資格取得で、一石二鳥!
中3英語の勉強に是非取り入れてほしいのが、英検3級の勉強です。
英検3級は、中学卒業レベルなため、勉強内容はそのまま中学英語の総復習となっており、さらにしっかり勉強をすれば英検3級も取得できるため、英語力が上がる上に、その資格を高校入試に利用できる可能性も出てくるのです。
これにより勉強のモチベーションにも繋がるため、この時期に挑戦することをお勧めします。
関連記事:【高校受験】本番で差がつく!プロが教える入試英語の裏ワザ8選
分野別勉強法

「単語帳と文法問題集は、復習することを前提に進める」
①文法は、単元ごとに総復習
全単元の入った問題集を活用して、どの単元も完璧にできるようにしておきましょう。まずは、単元制覇を目指し、上記の「正しい復習の仕方」で一つ一つ確認していきましょう。単元別の復習後、まとめの問題に進み、どの単元かを自分で判断できるように総合文法力を固めていってください。
②単語・重要表現は、単語帳を徹底的に復習
中学生までに覚える単語数は、2000~2,500語。
自分の目標に合う単語帳を用意してください。
どの分野においても、「復習」は必須ですが、とりわけ単語帳は必ず「2~3周の復習」を念頭に置きながら計画を立て進めていきます。
英語が苦手な場合は、単語帳だけでもしっかりやりましょう。
また、読み方や綴りだけでなく、例文や重要表現も同じように覚えるようにしましょう。
③リスニングは、放置しないで
リスニングについては、殆どの生徒が最も経験値が少なく最も対策が必要となるため、長文同様、まず慣れることです。
しかし、実はただ聴き流していてもあまり身につかない分野なので、勉強法には工夫が大切になってきます。
中3英語のリスニングは難しくはないので、まず聴くことと解くことに慣れましょう。そして、その後はスクリプトを読みましょう。それにより何を言っているかを確認します。そして、さらにリスニング力をつけるために、聴きながら追いかけるように自分で言うシャドーイングなども取り入れて工夫して勉強しましょう。
④英作文は、出題傾向を元に練習
英作文は、出題傾向に基づき、書き方のパターンを覚えていきます。
また、目視で確認していても、実際に自力で書けない場合が殆どなため、必ず自分で実際に書いてみることです。主語の後に動詞を書き、語順をまず整えます。
普段から、自身のことについてや社会問題について自分の意見を英語でも書けるように準備しておきましょう。
⑤長文読解は、コツコツと
最初にもお話ししたように、長文読解の配点が1番高い!
長文読解には慣れが欠かせませんので、早い時期から開始するに越したことはありません。また、実際の試験では制限時間があるので、夏休みからは、時間配分も意識して取り組みましょう。
具体的には、まず、志望校の問題とレベルに近い問題集を用意してください。もちろん、元々持っているもの・学校で配られているものも無駄にはしないように。
慣れてきたら、受験用の長文読解問題に移行していきましょう。
関連記事:【保存版】高校英語の接続詞一覧|最重要18個+受験に役立つ全パターン
3. 中3英語の勉強スケジュール

目標を定めて、それに合わせてスケジュールを立てます。
勉強は、なんとなくだらだらしないことが大切です。
志望校の出題傾向を分析しましょう!
どんな問題を受けなくてはならないのか確認し、そのための問題集を用意して、計画を立てます。また。「時間配分」も大切です。
最初は、時間が全く足りないと思いますが、少しずつ意識して時間を縮めて取り組むようにしていきます。最終的には、時間内に全部を解けて、さらに見直しの時間を設けられるようになるまで、鍛えていきます。
では、具体的な時期ごとの勉強スケジュールを見ていきましょう。
①4月〜夏休み前
「学校の勉強・テスト勉強が目標」
中3になってその変化に少し慣れてきた頃に、この一年の学習計画を立て始めます。
まずは、部活動などと並行して学校の勉強・テスト勉強を目標達成できるように日々の学習計画を立てて実行していきましょう。
その中で、夏休みを目処に少しずつ進路についても決めていきます。
②夏休み
「高校受験勉強にシフト」
受験勉強の計画を、しっかりしたものにします。
中3の夏休みからは、高校受験のための勉強にシフトしていきましょう。
また、高校入試について推薦など選択肢を失わないためにも、夏休みの間に、自分の学力と向き合う必要があります。
志望校の過去問を解いたり分析して、しっかり目標を定めて、学校が始まる前にこれまでの復習と受験勉強を大幅に進めていきます。
英語の分野別の勉強は、夏休みの間に完了させられると理想的です。
③夏休み明け以降
「夏休みに立てた計画の後半戦」
この時期になると、全ての部活動も終了していて、誰もが受験勉強に向けて動き出します。夏休みから秋にかけて、差を産む時期でもあるので、自身の学力や進み具合を見つめ直して、計画の見直しもしながら、より、受験に向けて分野別勉強から、総合問題へ移行していきましょう。本番のスタイルに慣れる時期になります。
④冬休み(高校入試直前期)
「本番同様の条件でトライ」
冬休みは入試直前になります。
この時期になると、勉強内容は、本番同様の「時間配分」と「緊張感」で、解けるようにする事に徹してください。
ただ、単語帳や不安な項目に関しては、これまでの復習も必要です。
入試対策用のまとめの問題を解く事で、間違えた部分の確認を重ねて、本番に備えましょう。
関連記事:「テスト勉強」から「受験勉強」へのギアチェンジ「その場しのぎ型勉強」はダメ絶対
高校受験までの中3英語対策まとめ
中3生の皆さん、中3英語とは、これまでの英語学習の集大成になります。
高校受験で希望の進路へ進み、これからの人生を歩むための本格的な勉強が始まります。その高校生活において、英語の勉強もスムーズに歩めるように、この一年の間にしっかりとその準備ができるよう、この解説を活かしてくださいね。













