そろそろ高校受験に向けて三者面談が行われる時期ですね。
人生の大きな決断となる高校入試において、一般入試、推薦入試を問わず、内申、つまり調査書の比重は無視できません。特にスポーツ推薦を視野に入れている生徒にとって、内申点と部活動の実績をどう両立させるかは、避けて通れないテーマです。
1. そもそも内申、調査書とは?

中学校生活を送る中で、「内申」という言葉を聞いたことがあると思います。内申は、高校受験に必要不可欠な存在であり、内申点によって合否が大きく左右されることも珍しくあません。
高校入試の出願時に提出する「調査書」は、主に「9教科の評定(内申点)」と「特別活動等の記録(部活動や生徒会活動の記録)」の二本柱で構成されています。
まず理解すべきは、部活動の頑張りや大会での成績が、この9教科の「内申点」に直接加算されるわけではないという点です。例えば、バスケットボール部で全国大会に出場したからといって、主要教科である数学や英語の評定が自動的に上がることはありません。
「内申」とは、本人の成績を上級の学校へ内々に申し伝えることを意味し、その成績は中学3年間の総合的な成績のことを指します。
これは日々の授業態度、提出物、定期テストの結果によって決定されます。なので内申点を短期間で一度に高めることはできません。対策には早い時期からまじめに取り組むことが大切です。
高校受験を乗り越えるためにも、まずは内申の仕組みを知り、内申点を上げましょう。
つぎに、公立高校と私立高校での内申点の占める割合について説明します。それには、まず両校の受験のしくみを知る必要があります。
公立高校と私立高校の内申点の占める割合
1. 公立高校

入試の試験日、科目、面接の有無等、各都道府県によって違います。事前に必ず調べましょう。
①推薦選抜
公立高校においても、生徒 特性、つまりスポーツなどの部活動の成果や大会成績を重んじる推薦選抜入試があります。
各高校の募集要項を調べ、顧問や担任、保護者と相談して決めましょう。(確実に合格するかはわからないので、一般入試の準備も必要です)
②一次選抜 (一般入試)
主に五教科による学力検査ですが、学校によっては生徒の意欲や適性を問う高校もあります。
この場合、内申点が使われるのは、主に同点で並んだり、生活態度が重視されることがありますので注意しましょう。
③ 二次選抜
一次選抜において、定員に満たなかった場合や、複数学科をまとめて募集する、くくり募集などがあります。
2. 私立高校

①一般入試
公立高校に先立って、1月、2月に行われます。内申点は公立高校よりも扱われず、参考程度だと思います。
②推薦入試
学校による「学校推薦」か、自分で書く「自己推薦」の書類が必要です。面接、適性検査、実技等が行なわれます。
ここで、内申、調査書が重視されます。では、内申、調査書とはどういうものか、もう一度、考えてみましょう。
内申書とは?
内申を記載した書類のことを「内申書」といい、学校によっては「調査書」と呼ぶこともあります。また、内申書に記載される点数のことを「内申点」といいます。
内申書には、国語・社会・数学・理科・音楽・美術・保健体育・技術家庭・外国語(英語)9項目があり、副教科も含まれます。つまり、通知表の点数化と言えます。
最終的な評価は志望校へ出願するまでの第2学期までにつけられる中学3年間の平均のところが多いので、中学1年生から内申点をしっかり取ることが大切です。
部活動に関しては、県大会等の成績が重視されます。また、欠席数や授業態度も見られます。以下で詳しい戦略を見ていきましょう。
関連記事:内申点って何?学校生活でのやる気が、未来を変えるヒント
3. 【部活×内申点】両立させて志望校合格を掴むための具体的な戦略

スポーツ推薦を狙うにせよ、一般入試で内申点を活用するにせよ、「部活だけ」「勉強だけ」という偏った取り組みでは難しくなっています。文武両道を達成するための具体的な戦略をご紹介します。
必須戦略1:実技教科の「内申点」対策を徹底する
副教科を軽視しない: 美術、音楽、保健体育、技術家庭の4科目は、主要5教科と同じ配点(例: 5段階評価の「5」は「5」としてカウント)で内申点に反映されます。
具体的な対策:
授業態度: 積極的に発言し、真面目に取り組む姿勢を見せる。
提出物: 期限厳守で、完璧な状態で提出する(特に技術家庭や美術の課題)。
定期テスト: 副教科は暗記で点数が取りやすいため、テスト前に集中的に対策を行う。
✍️ プロ家庭教師の経験談:副教科対策で内申点が上がったA君の事例
以前、部活漬けで主要5教科の学習時間が確保できない生徒(A君)を指導していました。彼は真面目でしたが、内申点が伸び悩んでいました。そこで私は、「副教科の提出物を完璧にすること」を最優先に指示しました。
彼は美術が苦手でしたが、提出物のデッサンに時間をかけ、「授業で習ったポイントを全て反映させる」という約束を守ったところ、先生の評価が上がり、それまで「3」だった美術の評定が「4」に上昇。他の副教科も同様の対策をした結果、合計内申点が2点アップし、志望校の推薦基準をギリギリクリアできました。
副教科の評価は、才能よりも「真面目さ」が点数に結びつきやすい傾向があります。部活で忙しい生徒こそ、確実な副教科対策を疎かにしてはいけません。
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必須戦略2:部活での「人間性」の成長を意識する
高校側がスポーツ推薦で評価するのは、競技能力だけではありません。「この生徒が高校に入学した後も、部活動や学校生活で良い影響を与えてくれるか」という点です。
目指すべき評価: 単なる部員ではなく、リーダーシップを発揮した経験(部長・副部長・キャプテン)、協調性、困難に立ち向かう精神力などを調査書に記載してもらえるよう、日々の活動に取り組みましょう。
必須戦略3:引退後のスケジュールを逆算する
内申点の最終評価は中学3年生の2学期までにつけられます。部活動を引退した後の約半年間が、学力と内申点を上げるための最後のチャンスです。
引退後の切り替え: 志望校合格のために「この時期からは勉強に集中する」という明確な計画を立て、気持ちを切り替えて受験対策に集中しましょう。
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中学の「部活」は内申点にどう影響する?まとめ
近年、大学も含め、生徒数が減少しているため、推薦入学する学生が増加しています。
しかし、高校入試の仕組みがどう変わろうとも、大切なのは、「入れる学校」ではなく「何を学ぶか、そしてその先にどんな職業につきたいか」を見据えることです。推薦入試やスポーツ推薦で志望校へ入ったはいいが、「授業についていけない」「学校がおもしろくない」と悩む教え子も少なくありません。
お子さんがどんな方面を希望しているのかが、最も大切なことではないでしょうか。
部活で努力し、内申点も疎かにしなかったという「文武両道の経験」は、高校入学後も困難に立ち向かう確かな自信になります。
入れるからと簡単に考えず、中学での経験(内申点・部活動の実績)をどう将来に活かすのか、を親子でよく話し合い、志望高校を選んでください。お子さんが、心から納得し、楽しい学校生活を送れることを願っています。













